高可用性構成

SAP システムを高い可用性で運用保持していくためには、単一障害ポイントの排除はデータベースのレプリケーションといった対策を行う必要があります。本節では、SAP システムを Google Cloud 上で構築する際に、どのような高可用性対策を行うべきかについて解説します

Google Cloud での SAP HANA の高可用性構成

Google Cloud で SAP HANA の高可用性構成を組む場合には、 SAP HANA システム レプリケーション(SR)を使用できます。Google Cloud 上での HANA SR では、同期レプリケーションと非同期レプリケーションの両方がサポートされます。

可能であれば、SQL トランザクションがスタンバイ インスタンスでコミットされるまでプライマリ データベース インスタンスでコミットされない「同期レプリケーション」を使用することをおすすめします。これにより、スタンバイ インスタンスが 100% 同期され、リカバリ ポイント目標をゼロにできます。同期レプリケーションは、同じリージョン内の任意のゾーンに存在するインスタンスに対して使用できます。


SAP HANA Multi Zone での Active / Active

解決する課題・使い所

本項では、SAP HANA DB を Google Cloud 単一リージョン間での可用性を高める手段についてのデザインパターンを記載いたします。本構成を採用することで、Google Cloud 単一リージョン内における SAP HANA DB の可用性の向上が期待できます。

Google Cloud において可用性を高めるには、ゾーンとリージョン、グローバルリソースの違いを意識する必要があります。各リージョンには 1 つ以上のゾーンがあります。ほとんどのリージョンには 3 つ以上のゾーンがあります。たとえば、asia-northeast1 リージョンは東京の 3 つのゾーンを示し、asia-northeast1-a、asia-northeast1-b、asia-northeast1-c のゾーンがあります。 ゾーン間で HANA DB のレプリケーションを行うことで HANA DB の高可用性構成を実装します。これにより、システム障害時のデータ消失や業務停止といったリスクを軽減する事が可能です。

本パターンでは、HANA システムの耐障害性が向上し、SAP システムの信頼性向上が期待されます。ミッションクリティカルな SAP システムにおいて HANA DB を用いる場合については、本パターンで提示する構成を使用することを推奨します


アーキテクチャ

ゾーン間での Linux クラスタリング:

ゾーン間で Linux クラスタを構成すると、特定のゾーン障害からシステムを保護できます。ゾーンを跨いだ Linux クラスタ構成には アクティブ / パッシブ構成またはアクティブ / アクティブ構成があります。いずれの場合も、2 つの Compute Engine インスタンスを別々のゾーンに設定し、それぞれに独自の SAP HANA データベースを設定します


アクティブ / パッシブ構成:

一方のインスタンスをクラスタのプライマリ ノード(アクティブ)として構成し、もう一方をセカンダリ ノード(パッシブ)として構成します。次の図のように、プライマリに障害が発生すると、SAP HANA SR を使用してセカンダリノードに処理が引き継がれます。HANA SR の構成と設定の詳細については、HANA System Replication をご覧ください

アクティブ / アクティブ構成(読み取り可能):

両方のインスタンスをアクティブに構成しますが、セカンダリ ノードは読み取り専用になります。この設定は、ログリプレイの継続をベースにしています。仮想 IP(VIP)は、現在の読み取り / 書き込みノードを参照するように構成されます。 詳細については、次のトピックをご覧ください

SAP HANA マルチ リージョン での システム レプリケーション

リージョン間での Linux クラスタリング:

スタンバイ システムがプライマリ システムとは異なるリージョンにある場合は、プライマリ インスタンスでコミットする前にスタンバイ インスタンスがデータを確認するのを待たない、非同期レプリケーションを使用してください。このシナリオの場合は、障害が発生すると少量のデータが失われる可能性があります。そのトレードオフとして、非同期レプリケーションでは少なくとも 1 つのリカバリ ポイント目標が提供されます。

リカバリ時間目標(RTO)やリカバリ ポイント目標(RPO)など、ビジネスニーズに最適な HANA システム レプリケーションのオプションを選択します。詳細は、SAP HANA システム レプリケーションのレプリケーション モードをご覧ください


利点

  • SAP HANA DB を冗長化することで、SAP HANA DB が単一障害ポイントではなくなるため、システム全体の可用性向上に寄与します

  • HANA のデータが複製されますので、障害発生時のデータ復旧ポイント(RPO)を短縮できます(HANA SR の設定に依存します)


注意事項

SAP HANA DB のデータ保護観点では本構成は高い信頼性と可用性を有しますが、SAP システム全体での信頼性・可用性向上を考える場合は、ASCS、Enque、WebDispatcherなどの SAP システムにおける単一障害点の冗長化構成も合わせて考える必要があります。SAP システム全体の単一障害点の排除の検討は「SAP NetWeaver ASCS/Enque/PAS/AAS の高可用性構成」のデザインパターンを併せてご参照ください。


関係するデザインパターン

  • SAP NetWeaver ASCS/Enque/PAS/AAS の高可用性構成(準備中)


参照ドキュメント